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最高裁判所第二小法廷 昭和24年(つ)16号 決定

主文

原決定を取り消す。

本件を札幌高等裁判所に差戻す。

理由

特別抗告の理由は別紙のとおりである。

原決定は、刑事訴訟においては特に代理を許す旨の規定がない限り代理ということは認むべきでないから、辯護士を代理人とし代理人名義で爲された本件の請求は不適式であるとして抗告を棄却したのであるが、その行爲が代理を許してならないものでない以上は、刑事訴訟においても、正規の辯護士を代理人とし代理人名義で訴訟行爲をすることができるものであることは當裁判所の判例とするところである(昭和二四年一月一二日言渡同二三年(れ)第三七四號大法廷判決参照)。そして刑事訴訟法第二六二條第一項に基く請求について、正規の辯護士を代理人に依頼し代理人名義を以てその請求をすることを否定しなければならない理由は発見されないのである。それ故原決定は當裁判所の判例に反するものであり、本件特別抗告はその理由があるといわねばならない。そして、本件については一件記録に徴し當裁判所が自ら請求の當否について裁判をすることはできないから、刑事訴訟法第四三四條第四二六條第二項に則り主文のとおり決定する。

右は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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